2009年7月19日

化学実験の授業

化学実験の授業

タンザニアの中等教育のカリキュラムにも日本と同じように実験があります。

しかし、タンザニアのすごいところは生徒の学歴・進学に関わる「国家試験」の中に「実験」科目があることです。

まだ書いていなかったと思うので書きますと(遅れてすみません)
タンザニアの教育は「国家試験」による評価に大きく依存しています。

小学校(7年間)
中等学校(Ordinary-Level 4年間、中学校に相当)
中等学校(Advanced-Level 2年間、高校に相当)
大学

という流れの中では、次の段階に進むためには卒業年次に受ける「国家試験」が大きくものをいいます。


小学校教育(7年間)を終えたことを証明するのは7年生の最後に受ける「国家試験」の結果です。
またこの国家試験の結果が良ければ国が指定した特別な中等学校(Ordinary-Level 4年間)に進学できたりします。
この試験で「不合格」の評価をとるといくら7年間通ったとしても「小学校卒業者」とみなされません。

そうなんです。ここでは

「国家試験」=「卒業資格試験」+「進学のための入学試験」

という2つの役割があるのです。

O-levelの最後に受ける国家試験は「O-level卒業資格試験」+「A-levelへ進学のための入学試験」
A-levelの最後に受ける国家試験は「A-level卒業資格試験」+「大学へ進学のための入学試験」

といった感じです。

私が教えているのはO-levelの生徒ですが、4年生で受ける国家試験で「不合格」をとると、せっかく4年間通っても「O-level卒業証明」をもらえません。学歴は小学校卒業になってしまいます。


その国家試験に「実験」という科目があります。
私の教えるO-levelでは「物理」「化学」「生物」の3科目が理科として存在しますがこれら3つの各科目につき実験科目が科せられます!
理系の生徒は理科3科目すべてを取るので、「普通の筆記」と「実験」で合計6科目の試験を受けなければなりません。
「物理」「物理実験」「化学」「化学実験」「生物」「生物実験」の6つです。


実験室を持たない学校に通っている生徒はどーするのか?というと

各「実験」科目に「実験(代替試験)」というものが用意されていて、それを受験します。
これは実験に特化した問題や、まるで実験を進めているかのようなシミュレーション問題ばかりが掲載されている筆記問題です。

「知識を実際に応用できる生徒を育てよう」

という理念のもとにこの仕組みになっているようです。


生徒にとっては幸いなことに、科せられる実験の内容は毎年ほぼ同一であり、過去の問題を見て練習をしておけば十分に対処可能なものです

例えば「化学実験」については毎年

中和滴定(酸と塩基の中和反応を用いて、濃度決定などを行う)
系統分析による化合物の同定(未知の化合物が何なのか実験により決定する)

が科せられます。

私の配属先の学校は立派な実験室があるので(アフリカ開発銀行の援助で建設されたそうです)
実験の授業・国家試験の実験科目を行うことが可能です。実験器具もしっかりしたものが相当数存在します。

私のいる学校には化学の正規教員がいないので、私は数学の他に化学の授業についても関わることが求められていました。

去年は本格的に授業を行うことはできませんでしたが、今年の新学期からは本格的に化学の授業も行っています。



私の学校の化学実験室



私が赴任した時は実験室の管理・使用は行われておらず、実験器具は乱雑にしまわれ埃をかぶった状態でした。
また実験室は「机・イス不足を補うために」普通の教室のように使われていました。

去年まずは実験器具の洗浄・整理整頓を行いました。


洗浄、整理した後のフラスコ、ホールピペット


試験管


そして今年は実験の授業も行ってみようということで、国家試験の問題にでる「中和滴定」の実験を4月にやってみました。


薬品は意外といろいろなものがそろっているので基本的な実験なら問題なしです。タンザニア南東部ではそんなに簡単に手に入るわけでもなく、値段も高価ですがうちの学校にあれだけの薬品があるのにはかなりびっくりです。



化学薬品(うちの学校の実験室内)

その2へ続く

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